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邉見 光
原子力バックエンド研究(CD-ROM), 23(1), P. 113, 2016/06
日本原子力学会バックエンド部会誌「原子力バックエンド研究Vol.22, No.1」に掲載された研究論文「花崗閃緑岩,凝灰質砂岩試験片に対するヨウ素,スズの分配係数」が評価され、同部会平成27年度奨励賞を受賞した。今回の受賞に関する所感を同部会誌に寄稿する。
舘 幸男; 蛯名 貴憲*; 武田 智津子*; 斎藤 登志彦*; 高橋 宏明*; 大内 祐司*; Martin, A. J.*
Journal of Contaminant Hydrology, 179, p.10 - 24, 2015/08
被引用回数:29 パーセンタイル:73.48(Environmental Sciences)結晶質岩中の核種移行評価においてマトリクス拡散と収着現象の理解は重要である。スイスのグリムゼル原位置試験場から採取した花崗閃緑岩試料を用いて、Cs, Na, IとHTO(トリチウム水)の拡散・収着挙動が、透過拡散試験とバッチ収着試験により調査された。得られた実効拡散係数(De)は、Cs, Na, HTO, Iの順となった。容量因子()と分配係数(Kd)も、同様の傾向を示した。Cs, Naに対する二重プロファイルは、試料表面部のKdの増加によって解釈され、表面分析によって試料表面部の擾乱を受けた黒雲母鉱物の高い間隙率と収着容量の増加に起因することが確認された。二重プロファイルから得られたKdは、バッチ収着試験で得られた粉砕試料のKdの粒径サイズ依存性と関連付られた。グリムゼル試験場で実施された原位置長期拡散試験で得られた試験結果は、室内実験結果とそれらの原位置条件への外挿によって推定された移行パラメータによって良好に解釈された。
邉見 光; 山口 徹治; 飯田 芳久
原子力バックエンド研究(CD-ROM), 22(1), p.3 - 10, 2015/06
ヨウ素とスズは、地層処分の安全評価上重要な元素である。ヨウ素の分配係数として有意な値を期待できるのかどうかを見極めるために中性付近にてNaNO濃度を0-0.5mol dmの範囲で変化させて収着試験を実施した。誤差を評価して分配係数を求めた結果、凝灰質砂岩については、NaNO濃度0.5mol dmの条件を除きゼロではない有意な値を持ち、花崗閃緑岩については、NaNO濃度0.5mol dm以上の条件では有意な値を持つことが示された、スズについては、加水分解により生成する陰イオン種の増加とともに分配係数が著しく低下する可能性が考えられるため、高pH条件にて収着試験を実施した。花崗閃緑岩の分配係数はpH10.4で9.7910mkgとなり、pH12.4で2.4610mkgの値となった。凝灰質砂岩については、pH12.4付近で花崗閃緑岩より1桁程度高い分配係数(約210mkg)が得られた。
加藤 大生*; 佐藤 光吉*; 大和田 仁*; 三原 守弘; 大井 貴夫
JNC TN8430 2000-008, 53 Pages, 2000/05
TRU廃棄物の処分システムには多量のセメント系材料の使用が検討されており、セメント系材料からの高アルカリ性の浸出液の拡がりによって処分場周辺岩盤が溶出し、二次鉱物が析出すると考えられている。この浸出液の拡がりは高pHプルームと呼ばれている。高pHプルームは地下水の流れに沿って徐々に拡がることから、二次鉱物を含む岩石の性状や地下水の成分は時間的あるいは空間的に変遷することが予想される。しかし、これまで二次鉱物及び地下水成分の時間的、空間的変遷についての知見は得られていない。このため、本研究では二次鉱物及び地下水成分の変遷に関する知見を得ることを目的としたカラム試験を実施した。総延長4m、内径3.7cmの大型カラムに粉砕した花崗閃緑岩を充填し、80の恒温槽中においてpH13.3の模擬セメント浸出液(Na:0.1mol/l、K:0.1mol/l、Ca:0.002mol/l)を流量0.1ml/minで7ヶ月間通水した結果、カラムの上流においてカルサイト及びC-S-H系化合物、中流から下流にかけてはC-S-H系化合物が岩石の表面に二次鉱物として析出し、4m先まで高pHプルームの影響が及んでいることを確認した。また、Na、Kが支配的な模擬セメント浸出液では、岩石との反応によるpHの低下がみられなかった。本研究により、高pHプルームの流れに沿った二次鉱物及び地下水成分の変遷に関する基礎的な知見が得られた。
三輪 敦志*; 高橋 奈緒*
JNC TJ7440 2000-014, 40 Pages, 2000/02
本調査は,土岐周辺に分布する土岐花崗岩の地表露頭の岩石薄片試料について,偏光顕微鏡による薄片観察およびモード測定を実施し,既存情報とあわせて考察を行い,土岐花崗岩の岩相分布を把握することを目的として実施した。偏光顕微鏡観察結果およびモード測定の結果から,花崗岩の多くは,石英・カリ長石・斜長石をほぼ等量含むアダメロ岩を示し,含まれる有色鉱物の組み合わせにより,黒雲母のみ,黒雲母+白雲母,黒雲母+角閃石に分類される。これらを考慮すると土岐花崗岩は大きく分けて 1)黒雲母アダメロ岩,2)含白雲母黒雲母アダメロ岩,3)角閃石黒雲母花崗閃緑岩の3つのグループに分類される。石原・鈴木(1969)では野外での岩相変化(主に粒径と角閃石の含有)から土岐花崗岩を分類している。しかし,有色鉱物に白雲母を含む試料の記載がほとんどない。今回の調査によると,白雲母を含む試料は,土岐花崗岩体の西部に多く分布する特徴がわかった。また,有色鉱物に角閃石を含む試料は,従来,土岐花崗岩体北西縁部のみに分布するとされていたが,今回の調査では,岩体の東側にも分布する事が新たにわかった。
芦田 敬; 澁谷 朝紀; 佐藤 治夫; 舘 幸男; 北村 暁; 河村 和廣
JNC TN8400 99-083, 63 Pages, 1999/11
高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する第2次取りまとめにおいて設定されている核種移行データの妥当性の確認と信頼性の向上を目的として、地層処分放射化学研究施設(クオリティ)においてデータ取得を行った。実施した試験は、核種移行に係わる溶解度、収着、拡散に関する研究であり、以下に示す5テーマについて実施した。各試験の内容および成果の概要は以下に示す通りである。(1)Np(IV)の溶解度に及ぼす炭酸の影響に関する研究 還元条件、炭酸共存下におけるNp(IV)の溶解度をpHおよび炭酸濃度をパラメータに測定した。得られた溶解度曲線から2種類の水酸化炭酸錯体の存在が示唆され、その安定度定数を試算するとともに、既存の熱力学データと比較した。その結果、既存のデータと比較的近いことが分かった。(2)スメクタイトに対するNp(IV)の収着挙動に及ぼす炭酸の影響に関する研究 炭酸濃度をパラメータとしたスメクタイトに対するNp(IV)の分配係数(Kd)を測定した。Kdは、炭酸濃度(0.040.15M)の影響を受けずほぼ一定であった。1MKC1およびHC1による脱離挙動を調べた結果、低酸素濃度側ではHC1により、高炭酸濃度側ではKC1により脱離され、2つの異なる脱離挙動が見られた。(3)岩石に対するCs,Pb,Cmの分配係数測定国内の主要岩石(玄武岩、泥岩、砂岩、花崗閃緑岩、凝灰岩)に対するCs,Pb,CmのKdをイオン強度をパラメータに測定した。得られたKdを、第2次取りまとめにおける降水系および海水系での設定値と単純に比較してみると、いずれの条件においても設定値と同程度か高めの値になっており、第2次取りまとめにおける設定値の妥当性あるいは保守性が示された。(4)圧縮ベントナイト中のPbの拡散挙動に関する研究 圧縮ベントナイト中のPbの見掛けの拡散係数(Da)をベントナイトの乾燥密度、珪砂混合率、温度をパラメータに測定した。その結果、バックグラウンドの測定精度が重要であることが分かった。現状で得られた結果より概算したDaからKdを求め、第2次取りまとめにおける設定値と比較した結果、同程度であり、設定値の保守性が示された。(5)圧縮スメクタイト中のCsの拡散に及ぼすイオン強度の影響に関する研究 ベントナイトに不純物として含まれている可溶性塩を除去した圧縮スメクタイト中のCsのDaを乾燥密度
小田 治恵; 池田 孝夫*; 柴田 雅博
JNC TN8400 99-073, 112 Pages, 1999/11
ニアフィールドにおける核種移行評価において、ベントナイト中の核種の拡散挙動と、ベントナイト中および周辺岩盤中での収着挙動に関するメカニズムを理解し、処分環境条件での分配係数・拡散係数を適切に設定する必要がある。本報告書では、地層処分システムの安全評価上、重要核種のひとつであるSnについて、低酸素濃度条件下におけるベントナイト・岩石へのバッチ式収着実験、ベントナイト中の拡散実験(乾燥密度:0.4、1.0、1.6[g/cm3])を行った。また、スメクタイトへの収着実験およびスメクタイト・ベントナイトへ収着したSnの脱着試験を行い、ベントナイトへの収着形態について考察を行った。求められた分配係数は、ベントナイト103106[ml/g]、凝灰岩104105[ml/g]、花崗閃緑岩103105[ml/g]であった。これらの実験結果に基づき、ベントナイトへのSnの収着挙動は、スメクタイトと黄鉄鉱への収着反応が支配的なメカニズムであること、収着挙動へ与える支配的な影響因子はpHであること、また、ベントナイトへ収着したSnは、固相内部へ取り込まれるなどの非可逆的な化学形態をとることを推定した。ベントナイト中のみかけの拡散係数は乾燥密度0.4、1.0[g/cm3]でそれぞれ10-13、10-14[m2/sec]程度と求まった。1.6[g/cm3]ではより長期の実験が必要とされた。さらに、拡散プロファイルより、圧縮ベントナイト中での分配係数および間隙水中の溶解度を算出し、バッチ系での実測値との比較を行った。圧縮系での分配係数算出値はバッチ系での実測値よりも数桁低いことを確認した。一方、バッチ系での溶解度実測値と圧縮系で推定された溶解度とはほぼ一致した。本研究は、圧縮ベントナイト中でのSnの収着挙動がバッチ系とは異なる可能性を示すと同時に、圧縮ベントナイト中の収着・拡散メカニズム解明にはまだ多くの課題が残されていることを指摘する。
佐藤 治夫
JNC TN8400 99-061, 9 Pages, 1999/10
高レベル放射性廃棄物地層処分の性能評価における天然バリア中での核種移行解析のための入力パラメータとして、釜石鉱山の割れ目破砕帯(割れ目タイプC: 花崗閃緑岩健岩部、変質部、割れ目充填鉱物部より構成)より採取した岩石に対する間隙率および密度を水中飽和法により測定した。その結果、平均して8.60.43%とこれまでに同鉱山から採取された単一割れ目を伴う岩石(割れ目タイプB:花崗閃緑岩健岩部2.3%、変質部3.2%、割れ目充填鉱物部5.6%)と比較して大きい間隙率であった。一方、密度は平均して2.430.0089Mg/mであり、割れ目タイプBを構成する各岩石のどの密度よりも小さい値であった。このことから、放射性核種は割れ目破砕帯で最も移行しやすいことが予想される。
笹本 広; 油井 三和; Arthur, R. C,*
JNC TN8400 99-033, 153 Pages, 1999/07
釜石鉱山における原位置試験は、主に栗橋花崗岩閃緑岩を対象として行われた。栗橋花崗岩閃緑岩中の地下水の地球化学的調査により、主に以下の点が明らかになった。・地下水の起源は、降水である。・深部の地下水は、還元性である。・ほとんどの地下水にはトリチウムが検出されることから、これらの地下水の滞留時間は長くとも40年程度である。一方、KH-1孔の地下水にはトリチウムが検出されず、予察的な14C年代測定から、数千年程度の年代が示唆される様な、より古い地下水が存在すると推定される。・比較的浅部の地下水はCa-HCO3型であるが、より深部になるとNa-HCO3型になるような深度方向での水質タイプの変化が認められる。上記の様な地球化学的特性を示す栗橋花崗岩閃緑岩中の地下水に関して、地下水の起源と地下水-岩石反応の進展を考慮した地球化学平衡モデルをもとに、地下水水質のモデル化を試みた。その結果、土壌中での炭酸分圧の値、岩体中での以下の鉱物を平衡と仮定することで地下水のpH,Ehおよび主要イオン(Si,Na,Ca,K,Al,炭酸および硫酸)濃度について、実測値をほぼ近似することができた。・土壌中での炭酸分圧:logPCO2=-2.0・岩体中での平衡鉱物:玉随(Si濃度)、アルバイト(Na濃度)、カオリナイト(Al濃度)、方解石(Caおよび炭酸濃度)、マイクロクリン(K濃度)、黄鉄鉱(硫酸濃度、Eh)また、海外の専門家との議論により、釜石サイトにおける、より現実的な地下水変遷モデルを構築するためには、開放系での不可逆的な岩石-水反応に関して、反応経路モデルを用いたシステマティックなアプローチを適用することが必要であると考えられた。さらに、モデルの妥当性を示すためには、釜石サイトの地質情報に関して、より詳細なデータ(例えば、割れ目充填鉱物に関する詳細なデータ等)も必要である。
舘 幸男; 澁谷 朝紀; 佐藤 治夫; 柴田 雅博
JNC TN8400 99-088, 58 Pages, 1999/06
性能評価に用いるデータセットの信頼性を向上させることを目的として、性能評価上の重要核種の一つであり、かつ、実測データがほとんど存在しないパラジウムのベントナイト、花崗閃緑岩、凝灰岩中における収着・拡散挙動に関するデータを取得した。収着試験については、ベントナイト、花崗閃緑岩、凝灰岩を対象に、pH、イオン強度、液固比をパラメータとしてバッチ法により行った。Pdの分配係数として、10-1102m3/kgの範囲の値が得られた。ベントナイトに対する分配係数は花崗閃緑岩、凝灰岩に比べ若干高く、花崗閃緑岩と凝灰岩では同程度であった。分配係数のパラメータ依存性はいずれの固相でも同様の傾向を示した。pH依存性については、pH5で最大の分配係数となり、pHの増加に伴い減少する傾向であった。イオン強度の影響は顕著ではなく、液固比については、液固比が高いほど分配係数は高くなる傾向であった。Pdの収着挙動はNi,Co等の2価の金属イオンのそれとは異なり、これらのデータをアナログとしてPdを評価することは不適切であることが示唆された。本試験条件下におけるPdの支配化学種は、熱力学計算から中性のPd(OH)2(aq)と予想された。Pdの分配係数は10-1102m3/kgと比較的高い値であり、中性化学種の収着性は高いことが示された。また、分配係数がpHの増加と共に減少する傾向にあることから、Pdの収着は固相表面のS-OH2+サイトとの反応により支配されている可能性が示唆された。拡散試験については、ベントナイトを対象に密度をパラメータとしてin-diffusion法により行った。薄膜拡散源モデルにより解析された見かけの拡散係数は10-1310-12m2/sのオーダーであり、ベントナイト密度の増加と共に減少する傾向であった。見かけの拡散係数から得られた圧縮ベントナイト中での分配係数は10-210-1m3/kgとなり、バッチ収着試験により得られた値よりも12オーダー低い値であった。しかしながら、分配係数と液固比との関係には相関が見られ、液固比が低いほど分配係数は低くなる傾向であった。
上田 真三*
PNC TJ1211 98-002, 46 Pages, 1998/02
動力炉・核燃料開発事業団では、2000年3月までに性能評価レポートを作成する予定である。本研究は、レポート作成にあたって必要とされる核種移行データベース及び評価用モデルを整備することを目的として平成8年度に引き続き実施したものである。主な実施内容を以下に示す。1.重要元素の核種移行データベースの整備21元素に対し、OH、CO23、Cl、F、SO42、PO43を対象とした溶液中の化学種及び固相のデータ整備及びその国際的専門家のレビューを行った。また、岩石などへの17元素の収着データ及び7元素の拡散データ整備を行った。ベントナイトに関してはPuの収着性及び拡散データベースの整備を行った。2.データベース整備に係わるデータ取得ベントナイト、花崗閃緑岩、凝灰岩を対象にThの収着試験を実施した。またベントナイトを対象にRa、Np、Tc、U、ケイ砂混合ベントナイトを対象にCs、Se、Niの拡散試験を実施した。3.ベントナイトの間隙水水質推定モデルの検討イオン交換モデルにおける吸着化学種の活量補正について評価を行った。また空隙水組成に及ぼす不純物の影響に検討し、空隙水pHに対して方解石、石膏、硫化鉄の存在が影響することを明らかにした。4.コロイドの核種移行に与える影響の評価Hwangらのモデルを確証するためのデータ取得試験を実施するとともに、コロイドの存在が核種移行に与える影響の評価を行った。
上田 真三*
PNC TJ1211 98-001, 824 Pages, 1998/02
動力炉・核燃料開発事業団では、2000年3月までに性能評価レポートを作成する予定である。本研究は、レポート作成にあたって必要とされる核種移行データベース及び評価用モデルを整備することを目的として平成8年度に引き続き実施したものである。主な実施内容を以下に示す。1.重要元素の核種移行データベースの整備21元素に対し、OH、CO23、Cl、F、SO42、PO43を対象とした溶液中の化学種及び固相のデータ整備及びその国際的専門家のレビューを行った。また、岩石などへの17元素の収着データ及び7元素の拡散データ整備を行った。ベントナイトに関してはPuの収着性及び拡散データベースの整備を行った。2.データベース整備に係わるデータ取得ベントナイト、花崗閃緑岩、凝灰岩を対象にThの収着試験を実施した。またベントナイトを対象にRa、Np、Tc、U、ケイ砂混合ベントナイトを対象にCs、Se、Niの拡散試験を実施した。3.ベントナイトの間隙水水質推定モデルの検討イオン交換モデルにおける吸着化学種の活量補正について評価を行った。また空隙水組成に及ぼす不純物の影響に検討し、空隙水pHに対して方解石、石膏、硫化鉄の存在が影響することを明らかにした。4.コロイドの核種移行に与える影響の評価Hwangらのモデルを確証するためのデータ取得試験を実施するとともに、コロイドの存在が核種移行に与える影響の評価を行った。
佐藤 治夫
PNC TN8410 97-202, 205 Pages, 1998/01
本論文は、放射性廃棄物地層処分における緩衝材候補材料の1つであるNa型ベントナイトおよび代表的岩石について、間隙率および屈曲度などの間隙構造因子ならびに核種拡散係数の測定を行い、基礎的データを蓄積すると共に、長期的な核種移行を定量的に予測できる拡散モデルを構築し、予測手法の基礎的理論を確立することを目的として研究された結果をまとめたものであり、7章から構成される。各章では、人工バリアとしてのNa型ベントナイトと天然バリアとしての花崗閃緑岩、玄武岩と泥岩の物性値に関する測定データと電気二重層理論および分子拡散理論に基づいて構築されたモデルが、地層処分の立案の際、緩衝材と地層構成岩石の特性を考慮することにより、バリア内の核種拡散挙動の予測と処分場性能評価を槻ね定量的に可能にしすることを示している。尚、本論文は、筆者が平成6年4月22日平成9年3月18日にかけて秋田大学大学院鉱山学研究科博士後期課程(地球工学専攻)に在籍し、事業団において得られた成果(投稿論文)を中心に博士論文としてまとめたものである。
山田 毅*; 新宮 和喜*; 高橋 英一郎*; 中嶋 敏秀*; 山下 貢*; 山本 延彦*; 鈴木 高志*
PNC TJ7187 97-002, 586 Pages, 1997/11
岐阜県土岐市の動力炉・各燃料開発事業団東濃地科学センター土岐分室敷地内において、孔長500mのDH-5号孔が深部地下水調査を目的として掘削された。本報告書は、地表から下部深部までの地質構造、地質環境の有する水理学的・地球化学的特性を把握するため、このDH-5号孔の深部地下水調査結果をまとめたものである。主な調査項目は以下の通りである。1)岩芯の採取・記載2)物理検層(一般検層項目、フローメータ検層、レーダー法シングルホール測定)3)ボアホールテレビ観察4)透水試験(透水試験、揚水試験)5)原位置における物理化学パラメータ測定6)地下水の採水7)地下水の化学分析以上の調査を行った結果、以下のことが明らかになった。・調査区間全体の地質は花崗閃緑岩であり、深度約410mに断層がある。深度約310mよりも深い位置では断層に近づくにつれ風化や変質が激しくなっている。・断層よりも上部では、深度約150m付近に破砕部があり、この付近を境に上下の岩盤で岩相が異なる。・深度約150mから断層までの間には、亀裂沿いに酸化した部分がある。これは地下水の流動を示唆するものであり、フローメータ検層、温度検層で水の流入が確認された。また、この酸化帯付近では透水係数が高く、卓越する亀裂の方向性も破砕部の上部と異なる。・深度323.8330.8mの地下水特性は、物理化学パラメータの測定から還元性で弱アルカリ性である。また、地下水の年代は同位体分析による数十年程度と判定され、水質はCa(HCO3)2型を判断された。
米田 吉宏*; 高原 弘幸*; 中村 直昭*; 秋山 眞介*; 守屋 俊文*; 根木 健之*
PNC TJ1380 97-001, 1338 Pages, 1997/03
釜石鉱山における原位置試験の第2フェーズ(H5H9年度)では、次の5つの領域が研究対象とされている。すなわち、(1)深部地質環境特性の把握(TASK-1)、(2)深部岩盤における掘削影響領域の評価(TASK-2)、(3)結晶質岩中の水理・物質移行特性の把握(TASK-3)、(4)人工バリアに関する研究(TASK-4)、(5)地震に関する研究(TASK-5)である。本報告書は、主に(1)の深部地質環境特性の把握を目的として実施された調査・試験結果をまとめたものであり、同時にこれは他の研究のための基礎的な資料を提供するものである。本年度は大別して3つの調査項目からなり、以下のような成果を得た。(1).割れ目充填物の年代測定:割れ目充填物中の変質鉱物であるセリサイトのKーAr年代測定を実施した。その結果、同試料のフィッション・トラック年代よりも15Ma以上古い年代値が得られた。同試料では他の割れ目の影響や再動・再変質等の影響を被っていないことから、割れ目充填物は栗橋花崗閃緑岩体の冷却過程において形成され、岩体同様に徐々に冷却したものと推定された。地質構造および割れ目形成史のまとめ:現在迄に取得されている地質データを見直し、原位置試験場周辺の地質構造や割れ目特性、充填物・変質部の鉱物・地化学特性、形成史についての取りまとめを実施した。弾性波トモグラフィー:KF-1、2孔周辺における割れ目帯およびみずみちの検出を目的として弾性波トモグラフィーを適用し、解析には2種類の手法を用いた。その結果を比較検討したところ、地質観察(NW坑道周辺及びKF-l、2孔)で推定される割れ目帯、流体流動電位法(KF-1孔)においてSPのアノーマリーが検出された領域、流量検層(KF-l、2孔)で多くの湧水が確認された区間において両解析手法ともに低速度帯の存在が認められ、弾性波トモグラフィーが割れ目帯及びみずみちの検出技術として有効な手法であることが明らかとなった。(2).降水量・気温・坑道湧水量・間隙水圧の経時変化の把握:KG-1孔の間隙水圧の経時変化と降水量に関連性があることが認められた。また、KD-90坑道とNW坑道周辺における間隙水圧の観測から550mL坑道内に存在する高木圧帯の連続性が推測された。KF-1,2孔、KCH-l,2孔における水理試験:これらの試錐孔において流量検層、PNC式
青木 和弘; 小出 馨*; 清水 功*; 吉田 英一; 荒木 龍介*; 澤田 淳; 藤田 朝雄
PNC TN1410 97-038, 307 Pages, 1996/04
釜石原位置試験第2フェーズは、地下深部の地質環境特性の詳細な把握とそこで起きる現象の理解、ならびに、調査試験技術の高度化と確立を目的として、本地域に広く分布する前期白亜紀の栗橋花崗閃緑岩を対象に平成5年度から実施されている。平成7年度は、第2フェーズの第3年目にあたる。平成7年度の主な実施内容および成果は、以下の通りである。1)Task1:深部地質環境特性の把握原位置試験場周辺の地質構造、力学特性、水理特性、地球化学特性の情報を取得するとともに、割れ目帯検出技術として流電電位法と流体流動電位法を実施し、これらの手法の有効性と適用限界について把握した。2)Task2:深部岩盤における掘削影響領域の評価試験坑道掘削前の事前調査の準備として計測坑道と調査用試錐孔の掘削、割れ目調査、予備計測、室内試験および予測解析を実施した。また、坑道周辺のREDOX状態調査では、水質モニタリング、解析コードの開発、室内試験を実施した。3)Task3:結晶質岩の水理・物質移行に関する研究収着およびマトリックス拡散に関しては、割れ目タイプC(断層破砕帯)を対象にした詳細な移行経路調査を行い、割れ目周辺の移行経路概念モデルを構築した。室内試験ではタイプBを対象としたバッチ式収着試験等を行い、充填鉱物部、赤色変質部および未変質部の各部分での収着能力を定量的に把握した。移流および分散に関しては、アクセス坑道より3本の試錐孔を掘削し、非収着性トレーサー試験対象領域全体の水理地質構造(透水性割れ目および高間隙水圧領域の位置・分析等)を把握した。4)Task4:人工バリア試験粘土系グラウト技術の適用性の検討としては、粘土グラウトが岩盤の透水係数を低下させる手段として有効であることを示した。熱-水-応力連成現象としては、岩盤特性調査として試験坑道より各種計測用の試錐孔を掘削し、BTVおよび岩芯観察を行った。また、直径1.7m、孔長5mの大口径試験孔を掘削し、孔内壁面の割れ目観察を行った。
not registered
PNC TJ1380 96-001, 1900 Pages, 1996/01
釜石鉱山における原位置試験の第2フェーズ(H5H9年度)では、次の5つの領域が研究対象とされている。すなわち、1)深部地質環境特性の把握(TASK-1)、2)深部岩盤における掘削影響領域の評価(TASK-2)、3)結晶質岩中の水理・物質移行特性の把握(TASK-3)、4)人工バリアに関する研究(TASK-4)、5)地震に関する研究(TASK-5)である。本報告書は、主に 1の深部地質環境特性の把握を目的として実施された調査・試験結果をまとめたものであり、同時にこれは他の研究のための基礎的な資料を提供するものである。本年度は大別して4つの調査項目からなりそれぞれ成果を得た。
佐々木 憲明; 原 啓二; 秋好 賢治
PNC TJ1211 94-004, 317 Pages, 1994/03
本研究は、ニアフィールド岩盤中の物質移行経路のモデル化の基礎となるデータを、実際の岩盤性状を把握することにより収集し、ニアフィールド性能の定量化に資することを目的として実施するものである。今年度は生野鉱山、下川鉱山、明延鉱山、尾去沢鉱山、細倉鉱山、高取鉱山の坑内を主体に、それぞれに分布する流紋岩質溶結凝灰岩・花崗閃緑岩、輝緑岩、斑れい岩・粘板岩、頁岩、凝灰岩、砂岩を対象に、1m10mの規模の岩盤壁面のスケッチを肉眼観察で実施し、割れ目を主体とした情報を収集した。その結果を1/10のスケールで整理するとともに、割れ目の走向・傾斜、割れ目の連続性、空隙充填物質、岩盤分類等の観点でとりまとめた。その結果、異なる方向性を有する数種類の割れ目群がそれぞれのスケッチ箇所で把握されるとともに、湧水を伴う割れ目の観察結果から、主要割れ目が規則的に発達し、それらを連結する小規模な割れ目が発達するところに湧水が多いことがわかった。さらに、配列の規則性、特徴的な構造や規模、存在物質等の観点で、岩盤の物質移行に係る幾何学的特性のパターン化に向けた検討を行うとともに、岩石の種類を考慮した上での物質移行特性に係る地質構造のモデル化を、湧水割れ目及び連結性を有する割れ目について予備的に行い、それら割れ目の簡略化した分布パターンを図示した。
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PNC TJ1380 92-001, 1040 Pages, 1992/07
釜石原位置試験場では、地層科学研究の一環として、割れ目系岩盤中の地下水流動現象と物質移動に関する試験、研究およびその技術開発を中心に実施している。本年度は、地質性状・岩盤物性調査とベンチレーション試験の実施を主たる内容とした。このため、新たに栗橋花崗閃緑岩体中において地表より深度80lmのKG-1孔を錐進し、岩芯鑑定に基づく割れ目調査および孔内物理検層を実施した。また、KD-90坑道の既存の堰の位置に隔壁を設置し、ベンチレーション試験の適用性を検討した。各試験、研究の成果は次のように要約される。(1).地質性状・岩盤物性調査よりKG-1孔に認められる栗橋花崗閃緑岩は、2つに大別される。一つは11500m付近までの、比較的変質率の高い区間であり、もう一つは、500801mまでの、比較的変質率が低く新鮮な岩盤が多い区間である。これら2つの区間の違いは、比抵抗値、弾性波速度、割れ目本数、R.Q.D.値等の岩盤の物性あるいは性状によっても特徴付けられる。岩芯鑑定の結果からメンバーシップ関数を用いて数値化した変質率は、特に比抵抗値と高い相関を示した。一方、R.Q.D.値は弾性波速度と比較的相関が高い傾向にあった。変質率を用いた岩盤分類とR.Q.D.値を用いた岩盤分類が非常に類似した分布を示し、各種の検層結果との対応も良いことから、メンバーシップ関数を用いた変質程度の数値化は、岩盤評価の指標として有効なものと考えられる。(2).KD-90坑道におけるベンチレーション試験から、試験区間長7.5m、強制通気の条件として温度50度C、相対湿度20%程度であれば、強制通気によって湧水を完全に蒸発量として回収できる適用限界は数十cc/min程度であるものと推定され、当試験は微量あるいは正確な湧水量を評価するのに有効な試験方法であるものと考えられる。また、試験坑道周辺の間隙水圧計測結果および地下水流動解析から、局所的には不飽和領域が発生した可能性も考えられるが、全体的には飽和状態を保っていたものと推定された。ベンチレーション試験で得られた湧水量、間隙水圧分布から、KD-90坑道周辺の平均的等価透水係数として2.4x10/SUP-6/cm/secが得られ、この試験エリアでのREV(最小構造単位)は30m弱であるものと推定された。これらの値は、平成2年度に実施した岩盤透水性試験の結果とほ
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PNC TJ1214 91-009, 78 Pages, 1991/10
低レベル放射性廃棄物の処分方法として、地層処分法が検討されている。地層中における核種の移行挙動の解明は、安全性評価上重要な検討課題である。岩石等に対する核種の分配係数及び実効拡散係数は、移行挙動の主要な影響因子であるが、そのデータは少ない。本研究では、岩石等に対する核種の分配係数及び実効拡散係数を測定する方法を開発することを目的として、各種岩石及びベントナイトと放射性核種による基礎的試験を実施した。得られた結果を以下に示す。(1)各種岩石(ベントナイト)に対するSUP113/Sn、SUP95/Zr、SUP95/Nb、SUP226/Raの分配係数に関する基礎データが得られた。1.SUP113/Sn分配係数:240(ml/g)..海水及び純水模擬地下水2.SUP95/Zr分配係数:7003,000(ml/g)..海水模擬地下水、100040,000(ml/g)..純水模擬地下水3.SUP95/Nb分配係数:3007,000(ml/g)..海水模擬地下水、20040,000(ml/g)..純水模擬地下水4.SUP226/Ra分配係数:約30(ml/g)..海水模擬地下水、500600(ml/g)..純水模擬地下水(2)各種岩石に対するSUP134/Cs、SUP99/Tc、SUP237/Npの実効拡散係数に関する基礎データが得られた。1.SUP134/Cs実効拡散係数:10/SUP-810/SUP-9(cm/SUP2/sec)2.SUP99/Tc実効拡散係数:10/SUP-910/SUP-10(cm/SUP2/sec)3.SUP237/Np実効拡散係数:10/SUP-810/SUP-9(cm/SUP2/sec)(3)pH及び共存イオンは、分配係数測定試験及び実効拡散係数測定試験における重要な影響因子である。